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良き参謀とは、よく歩きよく話す。中目黒総合事務所 税理士 廣岡実

ひっそり、こっそり、「マイナンバー制度」が進行しています。

気がつけば、今年の10月には全国民に個別のマイナンバーを付された「カード」が届き、平成28年1月からは「社会保障」「税」「災害対策」などの行政手続きにおいてこの番号が必要となります。

このマイナンバーは、

「住民票が簡単に取れます!」

といううたい文句があった住民基本台帳ネットワークとは違って、「国民一人一人に背番号をつけて、脱税や社会保険料の徴収漏れをなくします!」と、正面から迫ってくる。

確かに、正直に税金や社会保険料を払っている皆さんからすると、諸手を挙げて賛成すべき事なんでしょうが、その趣旨は良いけど、税金の納税や社会保険料の納付のためばかりではなく、銀行口座にもこのマイナンバーをつけなければらなくなることが、つい先だって法律で決められましたし、あらゆる「金」に関する取引にはこのマイナンバーが必要となるのでしょうから、要するに、お国には国民全員の「お金の状況」が丸裸にされてしまうのですね。

完全にマイナンバーが運用されるのは2020年以降とのことですが、どんな行政サービスを受けるにもマイナンバーカードがなければならなくなります。

まあ、この手の制度は「前提通りの運用」が出来ていれば、特に問題は起きないものですが、一番、現実的に懸念されるのが、「マイナンバーの情報漏洩」。つまり、カードを盗難されたりスキミングされて、「なりすまし」の事件が発生する可能性があるわけで、そういうことを防ぐために「情報の管理」がとても重要になってきます。

現実的にその責務をになうのは皆さんの会社の総務経理担当従業員や我々士業。

つまり、事業所は正社員ばかりでなく、パートさんやアルバイトまでもマイナンバーをいちいち記録保管して、これが第3者に漏れないように厳重に保管しておかなければならない。

年末調整一つするにも従業員本人ばかりでなく、扶養家族の番号も必要になるし、この番号が付された事業所としての「控え」も漏洩しないように保管しなければならない。

士業でも、社会保険と税に関する仕事をする社会保険労務士と税理士が顧問先のこれらの情報を「カギ付きの保管庫」に厳重に保管しなければならなくなります。

かてて加えて、「退職した社員の情報」はきっちりと破棄して、記録が残らないようにしなければならない。これをきちんと規定通りにやるのはかなりな労力が必要となります。

書類一つ作るにも神経をとがらせなければならない。

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