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良き参謀とは、よく歩きよく話す。中目黒総合事務所 税理士 廣岡実
2018-12-28

お知らせから抜粋〜改めて「M&A」とは?

中目黒総合事務所(税理士 廣岡実事務所)では、毎月お客様に「事務所通信」をお送りしています。皆さまのご参考に、一部抜粋してお届けします。

改めて「M&A」とは?

 

最近とみに増えてきた「M&A仲介会社」。確かに時代の流れか、中小企業は後継者が居なくてやむなく廃業するところが増えていて、その解決策としてM&Aが脚光を浴びているのです。M&A自体は昔からあって、大企業では結構、盛んに行われています。一頃は「ハゲタカ」などと呼ばれ、「買収」される会社からすると乗っ取りのようなイメージを持たれておりましたが、今や特に中小企業にとっては立派な「事業承継対策」の一つ。

M&Aを日本語にすると「企業結合」といいます。巷で言われるM&Aは「株式譲渡」「事業譲渡」「合併」「組織再編」などの手法によって、実質的に他人同士の企業を結びつけて、ともに(実質的に)生き延びることです。中でも中小企業が普通に取る手法は「事業譲渡」と「株式譲渡」。ちょっと解説しましょう。

ある同族会社があります。株主は社長一人。従業員は100人ほどで経営陣も社長以外に取締役が3人居て、業績は順調に伸びています。しかし社長が75歳で、こどもは娘が二人。どちらも嫁いで普通の専業主婦。彼女らは父の会社を継ぐ予定はない。会社の幹部も仕事は一生懸命やるが経営を継ぐ度量も気力もない。つまり、会社経営の承継者が事実上いないのです。いい加減、社長も引退したいし、持ち株も2人の娘が相続すると莫大な相続税になる上、納税資金もない。

一方、世の中には余裕があって、「ヒト・モノ」が揃えばもっと発展する可能性がある会社もあります。そういう会社にとっては経営資源が揃っている会社そのものを手に入れられれば、手っ取り早く次の展開ができる。

 

こういう二つの会社がM&Aで手を結べば、双方にメリットがあるはずです。

<事業譲渡>
これは、主な経営資源だけ売却することです。この手法は、いってみればテナントビルのテナントだけを売却する様なイメージ。譲渡したい会社には売却代金だけが残り、最後はその会社自体を精算して株主であるオーナー社長に売却代金を支払って終わりとなる。しかし、会社そのものは結局、消滅してしまう。中にいる社員や設備も「違う会社」に移籍となる。譲渡の過程もとても面倒。

 

<株式譲渡>
これは、原則としてその会社の株式を100%譲渡して完全子会社になって活用してもらう方法です。こうすればその会社は株主が変わっただけなので、さしあたっては「見た目」は何も変わらない。旧オーナー社長は、かつて取得した例えば1千万円の株式が1億円で売却できて現金を手にできるのです。課税関係は旧オーナー社長の「株式の譲渡所得税20.21%」だけ。会社を清算しない限り現金化できなかった株式も1億円の現金に変わるのです。これで相続があっても納税資金は確保できるし、何よりも旧オーナー社長とその家族は老後のお金の心配をしなくて良い。これに会社として更なる資金が必要なら増資を絡めて財政基盤も盤石にできる。

いずれにしても、実際にM&Aを遂行するには金と時間がかかります。

 

(以下、略)

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